昨日の南日本新聞「流通の現場から」にも掲載されていましたが、
野菜や果物には、工業製品顔負けの「規格」があります。
最近は光センサーが発達し、糖度までも選別することができるようになりました。
出水特産の「デコポン」も糖度と酸度の規格を満たせば、
「デコポン」という名前で出荷され、
それを満たさないものは「不知火(しらぬい)」になります。
この規格は大きさ(S・M・L等)、見た目(優・秀等)で細かく分類され、
組み合わせは何十通りにもなります。
確かに、厳しい規格を設けて、いいものが出荷されれば、
そのブランド価値を高め、高値での取引がなされるようになるものもありますが、
そうでもないものにも規格は設けられています。
ではこの規格は何のためにある???
その答えのひとつは
「流通上、扱いやすし、売りやすくするため」
です。
まさに「プロダクトアウト」的な考え方とはこのことだと思います。
以前、ブランド化され、料亭など向けに出荷されるニガウリの畑を見たことがあります。
実ができたばかりの赤ちゃんニガウリにはすべて、プラスチックのカバーがつけられていました。
そう。曲がらないように実を大きくするためです。
曲がっているニガウリも、調理してしまえば同じだと思いませんか?
でも、もし、まっすぐなニガウリが2本で100円、曲がったニガウリも2本で100円。
袋に入れて売られていたら、どちらを買いますか?
同じ値段だったら、まっすぐなものを買ってしまいませんか?
この規格を作り、維持してしまっているのは、
消費者である私たちにも要因はあると思います。
食糧自給率が低い日本。
そして、いつが旬なのか分からなくなってしまった私たちの食生活。
それらすべてが、この複雑な規格を作り出しているのではないでしょうか。
今日も出水特産館で不揃いな野菜達を見ながら、
そんな事を考えました。
森好子