うなぎ弁当を買った人が食中毒になったというニュースが流れていました。
それを聞いた娘が
「うなぎって焼いてあるのに食中毒?」と。
たしかに、食中毒菌は加熱すれば死滅するものが多いのですが、
今回の食中毒は黄色ブドウ球菌によるものとのこと。
最初ニュースを聞いたとき、死亡した人がいたということだったので、
O-157とかノロとかかなと思いましたが、
黄色ブドウ球菌と聞いて、意外でした。
黄色ブドウ球菌は毒素型といわれる菌種で、
増殖する際にエンテロトキシンという毒素を産生します。
そして、この毒素は加熱してもなくなりません。
その昔、雪印乳業がこの菌が原因の食中毒を起こし、
会社ごとなくなってしまいました。
この際の被害者は1万人を超えていましたが、
死亡した人がいなかったのが幸いでした。
ちなみに、この黄色ブドウ球菌の毒素が死亡につながることは少なく、
嘔吐や下痢が主な症状です。
今回亡くなられた方は高齢ということもあったのではと推測されます。
あちこちで、HACCPの話をしていると、
「菌」に対してはいろんな思い込みがあると感じます。
コロナ禍でノロウィルスにはアルコール消毒は効果がないということが知られるようになり、
アルコール消毒が完璧ではないことが認知されるようになりました。
でも、まだまだたくさんの認識不足があるように思います。
まずは、「真空パックにすると食品が長期保存できる」という認識。
たしかに、真空パックにすることで、酸化のスピードを緩めることはできるのですが、
有害菌の中には嫌気性細菌といって、酸素がない状態が好きなものもいます。
その一例がボツリヌス菌です。
これも毒素型で、この毒素は非常に強く、摂取すると死亡することがあります。
と、話を黄色ブドウ球菌に戻すと、
この菌は常在菌ですので、あちこちにいます。
手に傷があったりすると、そこで繁殖します。
だから、傷にばんそうこうを巻いて調理をするのはとても危険です。
また、小麦粉やホットケーキミックス、天ぷら粉などにも混ざっていることがあり、
保管中に増殖することはありませんが、
水などを加えて常温に放置すると、黄色ブドウ球菌が増殖するので、
残ってるからもったいないと思わず、
すぐに使い切らないといけません。
(加熱せずそのまま食べるのもおすすめしません)
今回も、捌いたうなぎを常温で放置することはないでしょうし、
冷たいものを焼いて(温めて)、ごはんにのせて冷ます過程とか、
温かいお弁当を持って帰る過程とか、
そういうところに問題があったのではと思います。
生肉の低温調理とか、
いろいろ話題になっているものはありますが、
中には、けっこう危険なものも多いので、注意が必要です。
森好子